脱離エレクトロスプレーイオン化質量分析イメージング(DESI-MSI)の応用により、脳内2-アラキドノイルグリセロール(2AG)におけるストレスおよび食事性グリーンナッツオイル(GNO)の影響を調査しました。
脳内のエンドカンナビノイドシグナル伝達系は、様々な生物学的プロセスを調節しています。
このシグナル伝達系は、2つのGタンパク質共役型受容体と2つの主要な内因性リガンドで構成されており、この2つのリガンドのうち、2AGは最も研究されている主要な内因性リガンドです。
2AGは、中枢神経系の発達に極めて重要な役割を果たしています。慢性的かつ反復的なストレスは、マウスの脳内2AG濃度を上昇させ、この増加した脳内2AGは、ストレス反応を抑制するために重要な役割を果たします。
しかし、ストレスが脳の特定部位の2AG濃度に及ぼす影響については、ほとんど知られていません。また、食事介入によって脳内2AG濃度を増加させ、不安行動の予防に利用できる治療法もまだ検討されていません。
グリーンナッツオイル(GNO)は、Plukenetia volubilis の種子から抽出されたものです。オメガ3脂肪酸(FA)を豊富に含み、その補給は認知症モデルマウスの脳内のオメガ3FAレベルを改善います。オメガ3系脂肪酸は脳内2AG濃度を高めることができるため、GNOを摂取することで脳内2AG濃度を高めることができるかもしれません。
しかし、これまで、それに関するエビデンスは不足しています。そこで本研究では、水浸ストレスとGNOの補給が、SAMP8マウスの異なる脳領域における2AGレベルに及ぼす影響を探索するために、研究を実施しました。
ストレスとGNOの補充がSAMP8マウスの異なる脳領域の2AGレベルに及ぼす影響を初めて明らかにすべく、DESI -MSIを適用しました。
この研究では、図1に示すように動物を用意しました。マウスの脳のサンプルを切り取った後、DESI-MSIを適用して、ストレスや食事摂取のGNOが脳の2AGに及ぼす領域特異的な影響を探索しました。最初に、DESI-MSIによるマウスサンプルからの2AGの検出を確認しました(図2)。
次に、私たちは初めてDESI-MSIを用いて、SAMP8マウスの脳内2AGのストレスによる領域特異的な影響を探索しました(図1に記載されています)。マウス脳サンプルからの2AGの検出をDESI-MSIで確認しました(図2)。
ストレスを与えられたSAMP8マウスの脳全体に2AGが増加していることが確認されましたが、視床下部、後脳、中脳において他の脳領域に比べて2AGの蓄積が比較的高く観察されました(図3)。
ストレス負荷を18日間取り除いた後、ストレス負荷のないCO飼料を与えられたSAMP8マウスと比較して、ストレスを受けたSAMP8マウスの脳内2AGの分布にほとんど違いが見られませんでした(図4)。
ただし、GNO摂取はSAMP8マウスの脳内2AGの蓄積を増加させ、水中負荷ストレスのある場合とない場合の両方で見られました(図4A、B)。
2024-03-04
2023-07-26
2023-07-20
2023-04-06