質量分析イメージング(MSI)|原理や応用事例を医学部発ベンチャーが解説

質量分析イメージング(MSI)|原理や応用事例を医学部発ベンチャーが解説

記事作成日

2023-07-05

最終更新日

2023-08-03

質量分析イメージング(MSI)は、農学、食品関係、がん研究などの様々な領域で活用される解析技術です。本記事では、質量分析の専門企業である私たち「株式会社プレッパーズ」が、原理や特徴、応用例、現状の課題と今後の展望を網羅的にご紹介します。

▼浜松医科大学発ベンチャー「株式会社プレッパーズ」が開発した質量分析関連技術や装置はこちら
ソルナックチューブ
ソルナックチューブ自動切換え装置

▼プレッパーズへの質量分析のご依頼・ご相談はこちら
無料で問い合わせる

質量分析イメージング(MSI)とは

質量分析イメージング(MSI)は、平面状の試料表面に存在する分子をイオン化・質量分析し、その分子の空間分布を二次元的に可視化する技術のことを言います。我々プレッパーズでも、MSIは重要な分析手法として位置づけています。

MSIの原理や特徴

MSIの原理は、試料表面から直接イオンを生成し、そのイオンを質量分析計で分析、その結果をイメージとして描き出すことです。MSIの特徴は、試料表面に存在する広範囲な物理化学的性質をもつ分析種を、空間的な情報を保持したまま分析できる点にあります。

サクラの花びらをMSIにかけた例。色の違いは、分子分布の度合いを示しています。

MSIから何がわかる?

MSIを用いると、試料の表面上に存在する各種の分子がどのように分布しているかが明らかになります。これにより、組織の構造や機能、病変部の特性などを理解することが可能となります。

MSIに用いる機器・機材

MSIに用いる質量分析計は、試料表面における分析種の分布情報を得るために、微小領域からイオンを発生させるイオン化を搭載している必要があります。MSIに用いられる代表的なイオン化法は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(matrix assisted laser desorption/ionization, MALDI)と脱離エレクトロスプレーイオン化(desorption electrospray ionization, DESI)です。プレッパーズでは、両方のイオン化を駆使してお客様のニーズに最適なMSI技術を提供します。また、より精密な分析を行うためには、レーザーアブレーション技術や高速データ処理が可能なソフトウェアなどが併用されます。

▼浜松医科大学発ベンチャー「株式会社プレッパーズ」が開発した質量分析関連技術や装置はこちら
ソルナックチューブ
ソルナックチューブ自動切換え装置

▼プレッパーズへの質量分析のご依頼・ご相談はこちら
無料で問い合わせる

▼関連記事
質量分析イオン化法についての詳しい解説はこちら

質量分析装置についての詳しい解説はこちら

MSIの応用事例

医療・医学における応用

医療・医学分野では、病変部と正常部のMSIデータを比較する事で、疾患に関係する指標化合物を探索する研究に用いられています。また、組織の画像診断や疾患の早期発見などにMSIが応用されます。例えば、腫瘍組織や脳組織の詳細な分析が可能であり、早期診断や治療戦略の策定に役立てられています。

マウスを用いて、アセトアミノフェンとその代謝物の腎臓、脳、および肝臓における分布を解析した例。
論文の詳細はこちら

▼技術情報(プレスリリース)
プレッパーズの研究活動の成果はこちら

農学における応用

農学分野でもMSIは有用であり、植物体内の代謝物やホルモンの分布を明らかにすることが可能です。これにより、種子の発芽過程やストレス応答など、植物の生理機能を詳細に理解することができます。

食品・栄養分野における応用

食品・栄養分野では、食品内の栄養素や添加物の分布を視覚化し、その品質を評価するためにMSIが活用されています。また、食品の製造過程や保存状態を評価するためのツールとしても利用されています。

▼浜松医科大学発ベンチャー「株式会社プレッパーズ」が開発した質量分析関連技術や装置はこちら
ソルナックチューブ
ソルナックチューブ自動切換え装置

▼プレッパーズへの質量分析のご依頼・ご相談はこちら
無料で問い合わせる

MSIの課題と今後の展望

現時点でのMSIの課題

MSIは便利な技術である一方で、いくつかの課題が存在します。例えば、分析に時間がかかる、また試料の準備やデータ解析に専門知識が必要となる等です。

MSI研究の進歩と今後の展望

しかし、MSIの研究は日々進展しており、これらの課題を克服するための新しい技術や手法が開発されています。我々プレッパーズでも、これらの最新動向を追い、高品質な解析結果を提供し続けることを目指しています。

まとめ

質量分析イメージング(MSI)は、試料表面に存在する分子を直接イオン化・質量分析し、その空間分布をイメージとして描く技術です。その特性から、医療・医学、農学、食品・栄養分野など多種多様な分野で有用性が認められ、普及が進んでいます。

一方で、MSIの利用はまだ一部の専門家に限られ、分析に時間がかかるなどの課題も存在します。しかし、その解決策を模索する研究は活発であり、我々プレッパーズもその一環として、最新の研究動向を追いつつ、より高品質で実用的な解析結果を提供できるよう取り組んでいます。

これからも、質量分析イメージングの可能性を引き出し、さまざまな研究や産業分野での新たな発見や革新につながる情報を提供していきます。その過程で、私たちが解析したデータが、医療ひいては社会全体の発展に貢献できるよう、より一層尽力してまいります。

▼浜松医科大学発ベンチャー「株式会社プレッパーズ」が開発した質量分析関連技術や装置はこちら
ソルナックチューブ
ソルナックチューブ自動切換え装置

▼プレッパーズへの質量分析のご依頼・ご相談はこちら
無料で問い合わせる

その他の記事

記事一覧はこちら