質量分析イメージングのクラスタリング解析により明らかになった腔状乳癌検体におけるリピドミクスに基づく組織不均一性
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質量分析イメージングのクラスタリング解析により明らかになった腔状乳癌検体におけるリピドミクスに基づく組織不均一性

要旨

がん組織は、がん細胞と比較して、がんの病理学的特徴をより多く反映しているため、がん組織の評価は、がんの治療戦略を決定する上で有効である。

質量分析イメージング(MSI)は、空間情報を保持したままがん組織を評価し、分子の同定まで行うことができる。現在、がん組織の表現型の不均一性を評価するために、がん組織のMSIデータのクラスター解析が行われている。

興味深いことに、HER2陽性乳癌では、表現型の不均一性が必ずしも遺伝子型の不均一性と一致しないことが報告されている。

そこで我々は、一般に遺伝子変異が少ないことが知られている内腔性乳癌の表現型の不均一性を調べた。その結果、内腔性乳癌組織のリピドミクスに基づく表現型の不均一性を同定した。

クラスターは、ホスファチジルコリン(PC)、トリグリセリド(TG)、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、セラミドで構成されていた。主にPCとTGの割合が、HE画像上の癌および間質の割合と相関することがわかった。

さらに、これらの脂質クラスの炭素数はクラスターによって異なっていた。これは、長鎖脂肪酸を合成する酵素が癌の代謝によって増加するという事実と一致していた。

そして、炭素数の多いPCを含むクラスターは、悪性度の高さを反映しているのではないかと考えられた。

これらの結果は、リピドミクスに基づく表現型の不均一性が、遺伝子解析だけでは不十分ながんの分類に利用できる可能性を示している。

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